これは一つのほろ苦い冬のラブソングである。

静岡県のある高校、湘葉高校では大学入試の張りつめたプレッシャーが人生最後の青々とした歳月を揺るがしていた。

これからは各人それぞれ自分の進む人生に向き合っていかなくてはならない。ある人は出逢い、ある人は別れる。

降りしきる大雪に覆われた秘密が、もの悲しいリズムを織り成す。

 

めちゃくちゃに壊れた家庭、

いじめに遭った経験、

笑顔の裏での涙。

 

初恋の味は果たして甘いのかほろ苦いのか?誰が報われ、誰が深みに向かうのか?

引き寄せられ、引き離され、別れさせられ、傷つけられる。

 

少年と少女、三人の出逢いは、それぞれがつらい秘密を背負った寒い季節のことだった。

 

抱きしめ合いながら、世界で最後の小さな小さな温もりを汲み取って。

大学入試前の最後の冬、湘葉高校は一人の美しい転校生、宮澤萌を迎え入れた。

藤原広の隣に座った彼女には、天女のような容貌と人を寄せ付けないオーラがあった。彼女は一片の冷たい雪の結晶のように、すんなりと彼の心に入り込んだ。まるで一つのロマンスの始まりのようだった。

 

しかし、宮澤萌の綺麗な容貌と、成績優秀ながら冷やかな性格であることは、クラスメートの歓迎を受けず、彼女は人の近寄らない存在となった。だが、彼女の才能と美しさは家庭を早くに失った藤原広の心を打った。しかも、彼女は藤原広に対しては少し特別に振る舞うようだった。彼は宮澤萌に心を動かされずにはいられなかった。しかし、彼は宮澤萌に近付こうとしたとき、この女の子は本当に近寄りがたい存在なのだと分かった。

 

これと同時期に、もう一人の茶目っ気と暖かい笑顔のある女の子、吹原玲花も彼と期せずして出逢った。

彼女は明るくおおらかで、性格は暖かく、少し妖精じみており、藤原広に今までにない感覚を与えた。明らかに宮澤萌に惹かれているものの、吹原玲花の生命力に満ちた生き方、何の束縛も受けない奔放な性格の鮮やかさは、傍目から見れば愚かしく映るかも知れないが、藤原広から見ると、吹原は彼に向かって白い翼を展げた天使のようだった。暖かい炎、明るい光線は誰にでも優しいようでいて、実は心の深いところで人に対して移り気な藤原を恐れながら、情熱と希望を燃やしている。吹原の存在は眩し過ぎ、人は堪えきれずに火に飛び込む蛾になってしまう。

 

一方は人を拒む氷山の美人、もう一方は捉えがたい妖精少女。

 

彼の心は二人の少女の間を漂い、揺れ続ける。

 

一体どのような選択をしたら、正しい答えとなるのだろうか?

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